ピアノが弾けるようになるには、どれくらい時間がかかる?

ピアノの練習は生涯を通して楽しめることです。では、初めての一曲が弾けるようになるまでにはどのくらいの時間が必要でしょうか?

Last updated on 15 Mar. 2023

「ピアノを弾けるようになるまでの時間はどれくらい?」という問いに答えるのは簡単ではありません。本物そっくりの肖像画を描けるようになるには、どれくらい時間がかかるでしょう? 外国語を使って恋愛ができるほど、その言語が堪能になるまでの時間は? 読者の胸が張り裂けるような悲しい小説の執筆や、聴衆が歓喜するような交響曲の作曲にかかる時間はどうでしょう?

こうした問いに対する本当の答えは全て、そもそも完全に正しいとは言えないもの。答えはいくつかの要素に応じて変わるものだからです。練習の頻度や量、どのような教わり方ができるかだけでなく、才能もある程度関わってきますし、目標を達成するという意思の強さも一つの要因となります。

クリエイティブな活動に取り組んだことがある人なら、誰もが本当の答えなんて存在しないことを知っています。そうとは分かっていても納得できないですよね。そこで、具体的な解決策を提示できるような具体的な目標を示すことが必要になります。

特に音楽に関しては、ピアノ奏者のほぼ全員が「初めての一曲を演奏する」という目標を第一歩として掲げてきました。自分で選んだシンプルかつ楽しめる曲を、生き生きと、そして堂々と演奏できるようになってもらうのがflowkeyの目標です。

今から何の曲を弾こうかと考えてもいいし、もしかしたらもう弾きたい曲があるかもしれません。自分に合った曲を選ぶ際のヒントは、あなたがすでに知っている好きな曲で、あまり複雑すぎないものを選ぶこと。高い目標は持ちながらも、現実的なレベルにとどめましょう。弾けるようになれば、大きな達成感を感じられるような曲です。下の3週目のセクションでは、初心者のためのおすすめの曲をいくつか紹介しています。

初めての曲を1ヶ月以内に弾けるようになる方法 

これから説明する例では、練習を4つの週に分割しています。より多くの時間を練習に割ける場合や飲み込みが早い人、ピアノ以外の楽器を弾ける人は、さらに短時間で進められるかもしれません。その場合は、レッスンを3~4日に凝縮して構いません。また逆に、少し長めの時間が必要な人もいるかもしれませんが、それでも全く問題ありません。

flowkeyは誰もが曲を弾けるようになると確信を持っています。それに、自分を人と比較する必要はありません。勝つべき相手は昨日の自分のみ。そして比べるべき唯一の対象は、これまでの自分の演奏です。 

このガイドは、自宅にピアノかキーボードがあり、すぐに使える状態にあるけれども、これまでにピアノを演奏した経験がほとんど、あるいは全くないことを前提として進めていきます。

ピアノの先生に習わずに独学しようとしていることも前提の一つです。あなたはもしかしたら、図書館でピアノの教本を借りたりYouTubeの動画を視聴したり、あるいはflowkeyなどのアプリを利用したりしているかもしれません。

最後に、定期的(1週間に数日、1日最低20分)に練習する意思があるという想定で進めていきます。

準備はできましたか? それでは始めましょう!

練習方法

頻繁に練習すること(英語版)の方が、長時間の練習よりも大切です。ピアノ習得の基礎は体で覚えること。こうした記憶の形成を司る脳の部位は、主に繰り返しと習慣により活性化します。たとえ数分であっても、1週間のうちできるだけ多くの日に練習を行うことが最も重要な理由もここにあります。1日20分の練習を週に5日間行えば、1週間に1度だけ2時間練習するよりも早く上達します。

1週目—基本を学ぶ

最初の週は、ピアノ演奏の基本に焦点を当てます。

1週目は、未来の自分はどのような演奏をするだろう、とのわくわくした気持ちをモチベーションに練習を進めましょう。ここでは、細かい技術的なことにこだわりすぎないようにします。まずは、1曲演奏するのに十分な理解があればいいのです。

flowkeyではピアノの基本をまとめて、アプリのプレミアム会員向けコース「ピアノにふれてみよう」を作成しました。このコースは、7日間の無料トライアルを通じて利用可能です。flowkeyは、これがピアノ練習を始める上で最も手軽で手っ取り早い方法だと考えていますが、他にもYouTubeの動画やピアノの教本も活用できます。重要なのは、あなたに合っていると感じる学習ツールを見つけることです。色々な方法を試してみてください。

まず最初に、手の位置を確認しましょう。誰もが最初に学ぶポジションは、真ん中のド(C)です。「真ん中のド」という言葉はよく聞くので、覚えておいてください。こちらがその画像です。

flowkeyの演奏テクニックについての記事 はこちら。座り方や手の置き方などを説明しています。

次に、楽譜の読み方を学びましょう。難しく聞こえるかもしれませんが、案外そうでもありません。練習方法は他にもあり、中には読譜を全く学ばない音楽家もいますが、楽譜の読み方を学んで後悔している演奏家はかなり少数です。読譜も、正しい手の位置と姿勢を身に付けることと同様、演奏を上達させる切り札となります。

読譜に関する教本やリソースは多く、flowkeyもコース内で読譜について取り上げています。最初の一歩として、flowkeyではピアノの楽譜の読み方について無料ガイドをご提供しています。

基本を学んだら、練習で定着させましょう。flowkeyアプリの初心者向けエクササイズには次のようなものがあります。

基本を習得しよう

  • 真ん中のドの位置を練習する 右手の親指を真ん中のドに置き、両手の全ての指をそれぞれの鍵盤の上に乗せます。この位置から、5つの指を使った音階やベートーヴェンの有名な「歓喜の歌」の出だしが弾けます。
  • 両手で堂々と弾けるようになる まずは右手と左手を別々に練習し、自信を持って弾けるようになったら両手で練習しましょう。
  • リズムを追う これまでの2つのエクササイズを基盤とし、一定のリズムで練習します。

すでに基本を心得ている場合や、すぐに曲を練習したい場合は、最初から曲の練習に入ることもできます。flowkeyのソングライブラリには、あらゆるジャンルの初心者レベルの曲を数千曲取りそろえています。こちらを確認して、どの曲を弾いてみたいか考えてみましょう。アカウント作成は必要ですが、登録は無料です。

2週目—上達が見える時期

2週目は、両手でピアノを弾く方法について学びます。

初期のピアノ練習で最も難しいのは、両手で弾くことだと感じている人は多いですよね。人が自然に行う動作ではないので、習得には繰り返し練習が必要です。それでも、楽にできるようにするコツはあります。片手ずつ練習し、その後で組み合わせることです。

両手での演奏は、脳がこれまで経験したことのない複雑な作業である、ということを頭に留めておくことが何より重要です。新しいことを学ぶ(英語版)間、脳は全ての集中力をその作業に向ける必要があります。つまりピアノの場合、片手ずつの練習が必要ということになります。

最初から焦って両手で弾こうとすると、脳は右手と左手の動きを覚えながら、それと同時に両手の連携について考えなければなりません。これは、脳が一度に処理できる量ではないのです。

flowkeyでは、両手でピアノを弾くことについての無料記事で、こちらを詳しく説明しています。また、flowkeyのアプリでも練習できます。

スキルを上げるために、「両手で弾く練習」コースから抜粋した次のエクササイズを試してみてください。

両手で弾く練習

  • Cポジションのユニゾン練習—右手を真ん中のドの位置に置き、左手をその1オクターブ下に置いたら、最初の5音(ド・レ・ミ・ファ・ソ/C・D・E・F・G)を下から上、上から下へと繰り返します。最初は片手、次はもう片方の手で練習し、その後は両手で同時に弾きます。遅い速度でしっかりと弾けるようになったら、一定のリズムで弾く練習をし、徐々にスピードアップします。
  • Cポジションの対称練習—前の練習と同じ開始位置に両手を置き、前と同じ5つの音を弾きます。ただし今回は、左手が右手を鏡に映した動きになるよう逆に動かしましょう。右手がド・レ・ミ・ファ・ソを弾く間に、左手はソ・ファ・ミ・レ・ドを弾き、それから最初に弾いた音(右手の場合はド、左手はソ)まで戻ります。
  • 両手で別々に弾く—このエクササイズでは、右手と左手で全く別の動きをする練習をします。下の動画では、flowkey講師が左手で全音符を1音ずつ弾く間に、右手を鍵盤の上で行ったり来たりさせています。これまでの練習と同じように、まずは自分のペースで始めて、その後はリズムを維持しながら速度を上げていきましょう。

ここに挙げたエクササイズやその他の練習をより深めたい場合は、flowkeyの全コース内で段階的なガイドや、音を認識して正しいかどうか教えてくれる「待機モード」をぜひお試しください。

自分が上達していると感じたら、この週はドビュッシーの「月の光」など、シンプルな曲の練習を始めてもよいかもしれません。この曲はflowkeyのアプリ上で無料で利用でき、片手ずつ練習してから両手で演奏することができます。

3週目—さあ、あと少し

3週目になったら、選んだ曲の練習を始めます。楽しさが増すのもここからです。

3週目の終わりには、だんだん曲の形が見えてくるぐらいに弾けるようになっているでしょう。4週目には、曲を通して練習します。

選曲に関して最も重要なのは、弾きたいと思える曲を選ぶことです。このわくわくする気持ちが練習意欲につながり、難しい部分の練習もやり抜くことができます。

とはいえ、初心者でも弾ける曲を選ぶようにしてください。長すぎたり、複雑すぎたりする曲はいけません。まずは簡単なものから始め、現実的な目標を持ちましょう。また、メロディーをすでに知っている、なじみのある曲から始めることもおすすめします。

flowkeyの「初心者でも簡単に弾けるピアノ曲10選」を見てみましょう。flowkeyアプリの収録曲では、次のものもおすすめです。

flowkeyのアプリでは、上記の曲は全て練習しやすい長さに分割し、ゆっくりしたテンポで練習できるほか、演奏や練習がしやすいように難易度を調節することが可能です。

曲を決めたら、セクションごとにまずは片手ずつ練習しましょう。1つのセクションは2~4小節(4~8秒)にするのが大体の目安です。ただ、これは足掛かりとしてのただの提案です。練習する各セクションが、単体でも音楽的フレーズとして完結していると感じられるような独立したセクションに曲を分けられるのがベストです。

弾きやすい長さに分けた後は、次の要領で練習しましょう。

曲の練習 

選んだ曲を、次のパターンで毎日少なくとも1セクション(2~4小節)練習しましょう。

  • 最初に右手を練習 
  • 左手を練習 
  • 両手で練習
  • ゆったりめだが一定のテンポで両手で練習
  • テンポを徐々に上げる

そのセクションがしっかり弾けるようになったら、次に進みます。いくつかのセクションがしっかり弾けるようになったら続けて弾きましょう。1週間後にはいくつかのセクションが弾けるようになり、もしかしたら一曲丸々弾けるようになっているかもしれません。この時点で遅いテンポでしか弾けなかったり、テンポが安定しなかったりしても心配はいりません。全体的な感覚をつかめるようにしましょう。

4週目—待ち望んでいた瞬間です

この時期が来たら、曲を通して練習しましょう。「継続は力なり」という言葉を実感するのがこの週です。

この週はまず曲を最初から最後まで演奏し、つまづいたところや間違った音を弾いた箇所、リズムが保てなかったところを確認しましょう。こうした部分は、集中的に練習する必要があります。

こうした細かいセクションを、安定したリズムで弾けるようになるまで繰り返し練習し、その後で曲をもう一度最初から最後まで弾きます。ここで上達を遂げる方法はただ一つ、練習を継続することのみです。練習を続け、練習自体を楽しむようにしましょう。

速く弾きすぎないように注意しましょう。途中でつまづきながら速く弾くよりも、ゆっくりでも一定のテンポで丁寧に演奏した方が、全体としてはるかに美しく聞こえます。

flowkeyはこうした練習を想定し、曲を異なるテンポでゆっくり演奏するツールを提供しています。この機能を使えば、画面上の演奏者に合わせて50%、75%、100%のスピードで演奏できます。また曲に置いていかれることがないよう、それぞれの音を弾くまでアプリが待機する設定もあります。

完璧な人などいないことを忘れないでください。間違えながら弾くのは恥ずかしいことではありません。世界でも一流のピアノ奏者でさえ間違うことがあるのです。練習を続け、音楽を奏でることを楽しめば、最終的には間違いもなくなるはずです。

4週目の終わりには、曲を暗譜して弾けるようになるでしょう。

グランドフィナーレ  

1ヶ月にわたり努力と練習を続けたのだから、その成果を少し他の人にもおすそ分けしていいはず。お母さんや恋人、友人グループの前で曲を弾いてみましょう。郵便配達人の前で弾いてもいいかも。ペットの猫のために演奏、というのもありですね。あなたがこれまで一生懸命練習してきた成果を聞く資格は、誰もが持っているはずです。自分のスキルの共有も楽しみのうち。あなたは、努力してこうした力を身に付けたのです。

とはいえ、何よりまずは自分のために演奏するのを忘れずに。この曲を一生懸命練習してきたのです。一度立ち止まって、自分がやり遂げたあらゆることに誇りを持つべきです。演奏を楽しむことを忘れずに。

ちょっとした助けが必要な場合は、たとえ全くの初心者であってもflowkeyがお手伝いできます。様々なジャンルやレベルのあらゆる曲を用意していて、初心者向けのシンプルなアレンジもあるため、最初は簡単なバージョンから始めて徐々に本格的なものを弾けるようにすることが可能です。またflowkeyには、リアルタイムの音認識機能や基本を学ぶための段階的なレッスン、右手と左手を異なるスピードで練習できる機能も搭載。誰もが効果的にピアノを練習できる方法だと思うので、ぜひチェックしてみてください。さらに、多くの部分は無料で始められます。

練習がうまく行きますように。そして楽しんでください。皆さんの練習の成果を楽しみにしています!

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