ピアノ初心者が音楽理論の基礎を学ぶべき理由とは?

音楽「理論」と聞くと、なんとなく難しそうに感じるかもしれません。でも、ピアノを演奏する上で、理論を理解する事はとても大事。今回の記事では、なぜ音楽理論の基礎を学ぶ価値があるのかをご紹介します。

by Michael Lane

音楽理論は、自分が弾きたいと思う音楽を、深く理解するためのもの。理論を知ると、音楽がどのように作られているのか、さらにその構成が聴いた人にどのような印象を与えるのかが、分かるようになります。

音楽理論には、大きく分けて以下の内容が含まれます。

  • 音(音程、音階、和音、メロディ
  • 演奏方法(リズム、音色、ダイナミクス、アーティキュレーション、表現
  • 音の相互作用(ハーモニー、テクスチャー

より高度な音楽理論では、音楽の構造がどのような効果を生み出すのか、そして譜面上の記譜法を理解し、伝える方法を学びます。記譜法については、「楽譜の読み方の基本」も参照してください。

音楽理論を学ぶ事は、曲を演奏する上で役立つ数々のツールを与えてくれます。もちろん、すべての人が深く学ぶ必要はありませんが、理論を学ぶ事のメリットは沢山あります。

では、どう役立つのでしょうか?

良い曲が、なぜ良い曲なのか分かる

お気に入りの曲を一曲、頭に思い浮かべてみてください。そこには、メロディー、ハーモニー、コードが生み出す、あなたが好きだと感じる何かがあるはずです。

音楽理論を学べば、その曲が持つ要素を紐解き、なぜその組み合せが心地よいのかが分かるようになります。慣れてくると、様々な曲のロジックを理解できるようになります。

例えば、エルビス・プレスリーの名曲「I Can't Help Falling In Love With You」には、1700年代のフランスのラブソング「Plaisir d'amour」のメロディーが使われています。

ペットショップボーイズの「Go West」を初めとする様々なヒットソングには、実は有名なパッヘルベルの「カノン ニ長調」のコードが使われているのです。

この事実を知ったとしても、音楽の楽しみは失われることはありません。むしろ、曲をさらに深い次元で楽しむことができ、様々な音楽ジャンルへの理解が広がるはず。

クラシック音楽に興味があるなら、音楽理論はソナタのような長くて複雑な曲を理解するために役立ちます。主題や変奏といった理論上の考え方をある程度知っておけば、曲の構造がすぐに理解でき、さまざまなクラシック音楽をまったく新しい次元で楽しむことができるのです。

創造性が高まる

「ルールを破るには、ルールを知れ」。これはどんな芸術分野にも当てはまります。例えば小説家なら沢山の小説を読んで自分の言葉を研ぎ澄まし、映画監督なら昔の名作映画のシナリオや撮影手法を研究しますよね。

音楽も例外ではありません。特定のコード進行やリズムがなぜ心地よく響くのか理解すれば、その要素を取り入れることができます。そこから自分なりのアレンジを加えることにより、自分だけの音楽を作ることができます。このようなプロセスを踏むことで、かの有名な4つのコード進行のような、よくある型にはまらない曲が作れるようになるのです。

音楽理論を学べば、ポップスのピアノを弾く場合でも、エルトン・ジョン、フレディ・マーキュリー、レイ・チャールズ、アリシア・キーズ、アニー・レノックス、ビヨンセのような、「クラシックを学んだミュージシャン」の仲間入りをすることができます。

これらのアーティストは、音楽のルールや既存の枠にとらわれないことで、素晴らしい楽曲を生み出しました。

あらゆる楽器の上達につながる

実はピアノは、1人のミュージシャンが初めから終わりまで楽曲を作品として演奏できる数少ない楽器のひとつです。

1人だけで、低音部から高音部、またボーカルのメロディまでを演奏することができます。このように、汎用性がありながら多様な表現ができる楽器はなかなかありません。他の楽器で曲の深みと豊かさを再現するには、オーケストラやバンドの伴奏が必要です。

ピアノ音楽の背景にある理論を学ぶことで、単にピアノが上手になるだけではなく、あらゆる楽器への理解が深まります。音階、リズム、メロディ、ハーモニー、コードなどは、どの楽器を演奏するにおいても大切な要素だからです。

つまり、ピアノで音楽理論を学んでから、ギターやフルート、トランペットを学び始めると、より早いスピードで習得できるようになるのです。さらに、他のミュージシャンとセッションする際にも、音楽理論は役に立ちます。

新たな「言語」を手に入れられる

楽譜の読み方の基本」でご紹介したとおり、記譜法を理解することは、コミュニケーションするための言語を手に入れるようなもの。

楽譜を使うことは、曲を覚える手助けになるだけではありません。過去の作曲家と対話し、何を演奏すべきかを一目で理解することができるようになります。さらに楽譜を介することで、他のミュージシャンと、楽譜を超えた音楽関係を築くことができます。

少しでも音楽理論を知っておくことには、大きな意義があります。コードの名前を何個か覚えれば、弾きたい曲がどのコードの組み合わせでできているのかを瞬時に伝えられ、ベース、リズム、リードの各パートと一緒に演奏できるようになります。

また、音階の知識があれば、グループで即興演奏する時に特に役立ちます。例えば、ピアノや他の楽器でブルースやジャズ、ポップスのソロを演奏する際には、ペンタトニック・スケール(5音でできた音階)を使うと簡単にメロディが作れます。

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